
中国武漢市に端を発する新型肺炎コロナウイルス騒動でこのところ大荒れである。
人口大国中国で震源地の武漢そのものが東京都並みの1000万人を超える大都市であり、しかも隣国である我が国には、観光客等含めかなり流入客が多いこともあって、ことは厄介である。
WHOは異例の「緊急事態宣言」を発動、米国では「公衆衛生上の緊急事態」を宣言して中国からの入国制限を開始しており、わが国でも感染症法上の「指定感染症」として位置づけ、湖北省滞在者の入国制限措置に踏み切っている。
「指定感染症」になると、原則一年間感染症法が適用され、感染者への入院勧告のほか就業制限、感染者の保健所報告、重症患者の指定医療機関入院(専用個室あり、費用公的負担)等措置が取られる。過去にも、SARSのほか、MARS、結核、鳥インフルエンザにも同様の措置が取られているが、専門家の間では「果たして水際作戦にスピードも含め抜かりはないか?」といった声も聞かれる。
今回の新型肺炎は、感染力が強く、2003年のSARS騒動をしのぐ勢いともいわれている。
直近のマスコミ報道によると、2月1日現在の中国本土の感染者はすでに1万人を超え(うち死者は260人)という。中国人観光客の多い日本でもすでに20人の感染者があり、その他アジア諸国や欧米等世界的にも広がりを見せ、26の国、地域で感染者が確認されている(ただ、これらの国々では幸いにも死者はフィリピンの1名のみでほとんど出ていない)とのこと。
武漢在住邦人のうち希望者は政府のチャーター便で帰国、すでに500人以上が帰国しており、そのうち入院措置者は目下40人に及んでいる。武漢からのツアー客を案内した運転手やバスガイドからも感染者が出ているようだ。水際作戦の大切さはもとより、危機管理意識の向上等、国を挙げての緊急対策が叫ばれており、開会中の国会での議論はもとより、適時適切なマスコミ報道、さらには国民の意識と個々人の生活レベルでも関心を高め、手洗いの励行やマスク着用等公衆衛生意識の向上が求められる。
本コラムでこの問題を取り上げることに、思案や躊躇があったところではあるが、わが国経済面でも、観光地の土産物店はもとより、ホテルなど幅広い観光関連産業への影響が懸念され、折から戸惑い気味の株式市場も含め何らかの工夫、対策が求められており、こういった思いからあえて本欄で取り上げることとした。
令和がスタートして昨年は相次ぐ大型台風災害、今年は年初早々からこの新型肺炎騒動といろいろな災難にみまわれ、危機管理の大切さをいやがうえにも学ばされるところとなっているように思う。個々人のレベルでも的確な情報収集と分析・展望、そしていたずらに慌てない冷静な対応が、いやがうえにも求められる時代となっているのかもしれない。
晩年の小松左京氏には、とあるご縁で個人的にもことのほか親しくさせていただいたが、氏の代表作である「日本沈没」が再現されないよう、とりあえずこの騒動そのもののいち早い終息に祈りをささげる今日この頃である。