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「劉邦」を読む

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かつて毎日新聞でちょっと読んだことのある宮城谷昌光著の「劉邦」が、このほど大活字
の文庫本として再出版された。

かなりの長編物であるが、夏の暑さを吹き飛ばすには手ごろな物語とあって、4部作の長
編物を買い込んで読み直した。

この手の本では、まずバイブルとされるのは江戸期の読本「漢楚軍団」であるが、歴史本
愛好家の間で有名なのは司馬遼の「項羽と劉邦」である。

何れも、秦の始皇帝の暴政滅亡後の覇権争いを描いたもので、不世出の武人で知略に優れ
峻烈極める戦いで幾多の武功を挙げるが、その厳しさがゆえに31歳の若さで自害に追い込
まれていった項羽と農民上がりだが部下に恵まれ最後は漢帝国の高祖にまで上り詰める劉
邦の長い戦いをテーマとしている。

さしずめ、日本の戦国期にあてはめるとすれば、信長タイプの項羽と家康タイプの劉邦と
いったところか。

ただ、司馬遼もそうであるが、どちらかというと知略に優れながらも悲運の最期を遂げる
項羽ファンが多く、おっとり型でさほどの戦上手でもない劉邦にはさほどの魅力を感じな
いとする向きが少なくない。

彼の取り巻きには以下のような難解な名前の優れた補佐陣が輩出、要所要所で彼を助け、
何度も窮地を逃げ延びて、何とか皇帝の座まで上り詰める。

本人も、「百戦百敗」と再三にわたり弱音を吐くほど「戦下手」であるが、その温容な人
柄と気前の良さ、酒好きで女好きの飾らぬキャラクターが配下をひきつけ、軍団の勢力は
時間の経過とともに拡大していく。
呂雉(リョチ、正妻)
擁歯(ヨウシ)
張良(チョウリョウ)
樊噲(ハンカイ)
夏候嬰(カコウエイ)
肅何(ショウカ)
韓信(カンシン)
周勃(シュウボツ)
これらに逸材を覇権確立後、要所要所に重用し政権基盤を盤石にしていったのは言うまで
もない。

もちろん時代も舞台も異なるが、国のリーダー像を考える上でも示唆するところの少なく
ない大切な読本と言えよう。

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