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経営の神様・京セラの稲盛さん逝く

投稿日:2022年10月11日

過日、尊敬する経営の神様、京セラの稲森さんが老衰で亡くなった。

90歳の生涯であった。生まれ故郷の英傑西郷隆盛をこよなく愛し、「敬天愛人」を社是にも取り入れている。私生活でも、華美や豪邸を嫌い、晩年は京都郊外の自宅で愛する娘さん(喪主)たちとささやかに過ごすことが多く、京セラやKDDIの後輩たちもこの自宅に足を運び教えを乞うことが多かったようである。

松下幸之助、本田宗一郎と並び称される経営の神様で、数多の啓発書もあり、その人となりに触発された経営者も少なくないと思う。

挫折、失意が多かった鹿児島での貧しい学生時代(7人兄弟)にハングリー精神が磨かれ、持ち前の負けん気をベースに「セラミックス」という新しい素材を開発、仲間と小さな町工場の倉庫でスタートさせ、アメリカも含め「世界の京セラ」の今日を築いた。1984年には電電公社民営化により通信事業への新規参入が可能となった機をとらえ、トヨタも巻き込んで第二電電(のちのKDDI)事業にも乗りだした。

一方で仏門への関心も高く、利他の心や感謝の気持ちをわすれなかった、筋金入りの名経営者である。「世のため、人のために生きることが人間として最高の生き方である」との考えから、同じ1984年には50代の若さで私財200億円を投じ「稲盛財団」を設立、IPS細胞の研究者である山中伸弥教授らに受賞の機会を与え、その後のノーベル賞受賞を下支えした。

また、晩年には、自らの考えを浸透させるため、私塾「盛和塾」を立ち上げ、若手ベンチャー経営者サポートにも乗り出し、その塾生の中から弊社(ベンチャー育成を主業とし、地銀経営卒業後の2006年に立ち上げた小さなコンサル会社)の門をたたいてくる若者も出てきた。

近著「経営のこころ」(2022年1月刊)でも、末尾に掲げたいくつかの項目に分けながら、これまでの著作や講演録を集大成して、経営の要諦を説き、今なお学ぶところが少なくない。本書の「序」では、「現在、コロナ禍で、企業を取り巻く環境が劇的に変化している。

欧米では、コロナ禍の2020年の起業数は大幅増加しているが日本では減少傾向にある。

あるいは戦後日本をけん引してきた代表的著名企業の経営破綻が、これまでも低かった若者の起業意欲をさらに減衰させているのかもしれない。変革期こそ逆境をものともしない強靭な精神性が必要不可欠である。本書がこれからの日本経済社会を担う新しい経営リーダーにとって新たな活力を拓く契機となってくれることを願ってやまない」と説いている。

その基本は「情」と「理」の融合にあり、厳しい経営を求めるあまり、会議の途中で「おしぼり」を役員に投げつける激しさもあったという。一方で、業後は社員との「座談」をこよなく愛し、「コンパ」方式で組織の末端まで基本方針の浸透に努めるなどコミュニケーションへの気配りを忘れなかった。組織の隅々までトップの意向を浸透させる経営手法は「アメーバー方式」とも呼ばれ、ベンチャー経営者の中には今なおその精神を信奉するものも少なくない。

政治への関心もそれなりにあり、2010年には応援していた当時の民主党政権に請われて経営破綻していた日本航空の再建にも心を砕いた(無給会長職)。小沢一郎や前原誠司とも親交があり、健全保守による二大政党制を求めていたようである。

第一部 人をたばねるこころ
1, 心をベースとして経営(互いに感謝しあい、誠を尽くしあう)
2, 大家族主義で経営(真のやさしさが会社を立派にする)
3, 実力主義に徹する(叱り叱られるすばらしい人間関係)

第二部 事業を伸ばすこころ
1, 原理原則に従う(創業時の原点に立ち帰る)
2, 公明正大に利益を追求(決して浮利を追わない)
3, お客様第一主義を貫く(顧客に信頼され尊敬される)

第三部 組織を活かすこころ
1, パートナーシップの重視(皆で立派な会社を作る)
2, 全員参加経営(従業員のモチベーションを高める)
3, エクトルを合わせる(気持ちをそろえる)
4, ガラス張り経営(経営の透明性が最重要)

第四部 未来を拓くこころ
1, 独創性を重んじる(創造的リーダーの育成)
2, 高い目標を具体的に持つ(素晴らしい哲学の確立がベース)

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