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二つの邦画

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最近はコロナ環境整備の映画館での邦画鑑賞の機会が多い。

さほどのヒット作ではないが、それなりに心に残った以下の二つの作品について、私なりの感想を思いつくままにこのブログ欄でご紹介、興味のある方の参考になれば幸いである。多分に独断や好みがちらつくところはご容赦願いたい。

1、 浅田家

主役は、かのジャニーズ事務所「スマップ」メンバーの生んだ名優、キムタクと今や甲乙つけがたい演技派の二宮和也。「硫黄島からの手紙」や吉永小百合との「母と暮らせば」、キムタクとの「検察側の罪人」などでも名演技が光った。この二宮作品には、意外に映画ファンが多く、目下観客動員数ナンバーワンの座を占めているので、足を運ばれた方も少なからずあるかもしれない。

ほんわかとした家族物で、兄には妻夫木聡、父母に平田満、風吹じゅん、そして恋人に黒木華、親友に菅田将暉と、脇役陣も申し分ない。

主人公の二宮演ずるところの次男坊浅田政志は、もたもたしながらも幼いころからなりたかった写真家になり、全国表彰を受賞し写真集が本屋に平済みされるほど。父、母、兄といった心優しき家族全員をいろいろな画面で巻き込みながら。時に「消防夫」、時に「極道」、さらには「レーサー」、「選挙カー」「大食い選手権」「医者」「ラーメン屋」「授賞式」「お葬式」などなど。ものがたりは、前半の家族写真編と後半の東日本大震災編に大別されている。特に、「震災の津波で流された父との在りし日の家族写真をさがしもとめる小学生の娘のひたむきな姿に,シャッターを切りながら大粒の涙を流す政志の頬」や「臨終間際の父の枕もとで泣き崩れる母と、ベッドの脇で見守る兄弟の神妙な姿」など、悲しみや喜びがいっぱいの思い出アルバムの中に、時にユーモアも失わない家族愛ふんだんのこれら数々のスナップ写真シーンは、今や忘れられている小さな家族間のやり取りやしぐさも含めていつまでも見続けていたい。

実話を映画化したもののようだが、実在の浅田政志君本人は「出来上がった脚本を読み、過去がよみがえり、泣き上戸には程遠い自分だが、涙が止まらなかった。東宝試写室で9人家族一緒に鑑賞したが、浅田家というファミリー映画の感動にしっかり浸るためにあと3回は見たい」とその心境を語っている。

2、 望み

こちらは、好きな役者の堤真一と石田ゆり子の主演作で、「愛する息子は果たして加害者か?それとも被害者か?」苦悩する両親と聡明な妹の複雑な家族愛を描いたミステリーサスペンスである。ラストにどんでん返しがあるので、核心部分にはここでは触れないほうがいいだろう。

ラストはマル秘にして、大まかにストーリーを紹介すると、建築家の父一登(堤真一)が設計した瀟洒な一軒家に暮らす石川家は誰もがうらやむ仲睦まじい家族だが、そんな一家に暗雲がたれ始める。高校生の息子規士(岡田健史)が怪我でサッカーをやめたことがきっかけだった。次の目標が見つからずふさぎがちな息子を見かねた父は「未来は変えられる。でも、何もしなかったら、何もできない大人になる」と諭すが、息子は反抗的態度で返事もしない。そんなある日、在宅で編集の仕事をする母貴代美(石田ゆり子)は息子の部屋で切り出しナイフを見つける。父は「何に使うんだ」と問い詰めるが、はぐらかす。息子からナイフを取り上げ、建築事務所の道具箱にしまう。冬休みに入り新年5日、中3の娘雅(清原果耶)は一流校受験のラストスパートに入っていた。一方、夜遊びをするようになった息子は、前日から出かけ夜になっても帰ってこない。心配する母に祖母(市毛良枝)から電話があり、テレビを見るように促される。テレビニュースでは乗り捨てられた車のトランクから若い男の遺体が発見された、と報道され、高校生ぐらいの2人の少年が現場から逃げて行ったとの目撃情報も流れる。翌朝、警察官が訪ねてきて「息子さんの友人で、本人も含めて数名の遊び仲間が、事件の日から行方が分からない」と説明する。取材に来た雑誌記者の内藤(松田翔太)が母親に、行方不明の少年は3人だと内々教える。高校生同士の殺人事件かという衝撃的な展開の中で「もう一人死んでいる」とのうわさがSNSで拡散され、ネットでは「誰が加害者で誰が被害者か?」「原因は?」、様々な憶測と中傷が駆け巡り、石川ファミリーは執拗なマスコミ取材も加わりその渦に巻き込まれていく。

父は「息子の潔白を信じたい」と家族に訴えるが、それは息子が殺されているということを意味していた。加害者の家族という未来におびえる娘は、父にだけ「兄ちゃんが犯人だと困る」と苦しい胸の内を打ち明ける。一方、母は何があっても生きていてほしいという望みと引き換えに息子が犯人ならばどんな社会的制裁も受け入れると覚悟する。家族の心がバラバラになったその時、父は息子から取り上げたナイフが道具箱から消えていることに気づく。息子は決して人に手をかけるような人間ではない、そんな父親の確信も次第に揺らいでいく。

その時、一人の少年の身柄が確保されたとの知らせが警察官から入る。父、母、妹それぞれの「望み」が交錯する中、家族のたどり着いた「3つ目の答え」とは・・・・・。

監督は、「人魚の眠る家」「悼む人」など人間ドラマが得意な実力派ホープの堤幸彦。原作はミステリー作家として名高い(大藪春彦賞受賞)雫井脩介。撮影は2020年1月から3月まで、コロナ禍にあってリモート場面を駆使するなどソーシャルデイスタンスに配慮しながら、桜のシーンだけには満開の名所も織り込むなど随所に工夫の跡がみられ、ラストストーリーとともに温かみのある気配りがなされている好作品となっている。

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