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プロ野球の監督像

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パリーグのソフトバンクホークスに続いて、セリーグ読売ジャイアンツの優勝も決まった。

コロナ禍に見舞われ、無観客試合や主力選手の感染など、何かと気苦労の多かったシーズンではあったが、ペナントレースそのものは意外にもセパともに独走状態で、平穏なシーズン終幕といってもよかろう。

両球団とも「工藤監督、原監督の采配振りが際立っていた」との見方が少なくなく、マスコミ報道や識者の解説もそういった見方が多い。かつては「長嶋、王、落合、稲尾、イチロー、田中将大」といたスタープレイヤーがチームの優勝の原動力になっていたように思うが、最近は選手よりも監督の手腕、人気が試合を左右する場面が多いように思われる。以下、とくに采配ぶりが目立った監督を思いつくままに挙げて、「プロ野球監督像」を私なりに描いてみた。特にベンチャー企業のサポートビジネスをやっている日常の実体験からも、「ベンチャー経営者の力量、手腕が社運を左右する、といった場面が少なくない」こともあり、自らの教訓や反省の意味も込めてあえて本コラムでご紹介することとした。

川上哲治・・・ジャイアンツのV9黄金時代を築いたプロ野球界の神様的存在ではある。ただ、「哲のカーテン」と揶揄されるごとく、マスコミ取材をことごとく嫌い、選手の選り好みも「王は大好き、長嶋は好きじゃーないが、人気抜群で起用はやむを得なかった。広岡はクールさが鼻についた」とはっきりしていた。「克己心」「メデイア対応」など学ぶところは多いリーダーだが、若手育成や公平な部下活用からすると、果たしてどうか?プロ野球全盛期にあって、長嶋、王のスタープレイヤーに支えられた面も少なくない。広岡が引退後に「ともかく好きになれない監督だった」と吐き捨てるように語っているところからすると、何とかならなかったかとの思いがしないでもない。

長嶋茂雄・・・選手時代はもとより、監督としてもそれなりの実績を残してはおり、松井茂樹や原辰徳の育成にも力を注ぎ、ぬくもりや情熱を失わない生きざまはそれなりのエールが送られよう。裕次郎や美空ひばり亡き後、遺された「唯一の昭和史を飾った戦後大スター」ともいえよう。同世代の野村克也はことごとくこきおろし、「あのノー天気ぶりには開いた口が塞がらない」といった酷評をしていたが、最晩年は「長嶋が差し出した和解の握手を握り返した」とされている。「巨人軍は永久に不滅です」との名セリフを残し、言葉通りの人生を終えようとしてる姿には素直に拍手を送りたい。読売新聞社のドン渡辺恒雄(ナベツネ)が「中曽根に次いで尊敬するのは長嶋」と公言してはばからないのもわからないでもない。野球人としては大成しなかった息子一茂はタレントしてはかなりの活躍をしており、数少ない家族愛を垣間見せる父親の微笑みが見えてくる。小生が山口県在住の頃、シーズンオフになると大好きなふぐ刺しの大皿を共につついた懐かしい思い出が昨日の事のようによみがえってくる。その縁もあって、拙著「銀行の未来は明るい」に心温まる推薦文を寄せてくれたりもした。

星野仙一・・・現役投手時代から激情タイプで、グラウンドでの暴挙や喧嘩も再三となく繰り返され、選手起用でも信賞必罰か際立っており、悔しさのあまりグランドの土を思いっきり蹴り上げる名場面が幾度となく見られた。ひたぶるの人情家でもあり、心揺さぶるような言動が幾多の選手の心に響いた。中日時代はもちろん、楽天でもお荷物球団を堂々日本一に押し上げ、球界屈指の好投手田中将大の今日を育て上げた手腕は並大抵ではない。最愛の夫人に先立たれ、後を追うように病魔に侵されたが、球界を問わない多くのファンからいつまでも追悼の言葉が寄せられた。

野村克也・・・京都北部の寒村に生まれ、テスト生からプロ入りし、三冠王まで成し遂げた、根っからの苦労人である。同世代の王、長嶋の陰に隠れ、私生活でも脇役、地味を好み、「ひまわりよりも月見草が好きだ」が口癖で、マスコミにも公言してはばからなかった。筆力もさえわたり、多くの名著、名言集を残した。「勝ちに不思議の勝ちあるが、負けに不思議の負けなし」といった含蓄のある言葉が好きで、田中将大や古田敦也といった名投手、名捕手も育てた。ただ、「ぼやき」が度を越し、大衆的人気には程遠かった。サッチー夫人への盲目的な愛が、足枷となった面も無きにしもあらずだが、本人には幸せな生涯であったように思われる。

工藤公康・・・愛工大名電工時代から投手として活躍、体調、健康管理面での夫人のサポート(婦唱夫髄)もあり長寿選手を全うしたが、王監督の後を受け継いだダイエー、ソフトバンクホークスの監督としても、一流の冴えをほしいままにし、「優勝請負人」とも称されている。選手の起用策がうまくかみ合い、信頼も厚い。いちはやくリーグ優勝を決めたが、決して浮かれることはなく、今シーズンはリーグ優勝の胴上げも断っている。日本一まではまだひと山もふた山もあるとみる冷静さに、「いぶし銀のしたたかさ」をうかがわせる。孫正義球団代表好みの一流監督としての歩みを着実に固めているように思える。息子も俳優として着実な歩みを続けており、どんぐり目を細めるおやじの姿が時折スポーツ紙をにぎわせる。

原辰徳・・・選手としてはとてつもないほどの記録は残せなかったが、高校球児からジャイアンツ時代も中心選手としての評価はそれなりにあった。監督になってから「原采配」がさえわたり、高橋由伸がパッとしなかったあとを引き受け、即座にリーグ優勝を勝ちとるなど、特に選手起用での巧みさが光った。「おだてるのもうまいが、厳しくしつけるのもうまい」名監督としての気質を見事に兼ね備えている。私生活面での目配りも怠らず、率先して「禁煙」を宣言、目下選手、スタッフの大半が非喫煙者となっている。球界の神様と称される川上哲治の優勝記録を塗り替えるほどで、監督としての手腕、力量は申し分ない。エース菅野や主砲岡本や坂本、丸さらには阿部慎之助など主力選手の育成術も一流で、いずれ、松井秀喜や高橋由伸などへの華麗なるバトンタッチが楽しみである。かけマージャンや女性問題で一部週刊誌に暴露記事を書かれたりしたが、係争もいとわない毅然としたマスコミ対応で勝訴、時間とともにファンの言の端に上ることもなくなった。

独断と偏見で心に残った監督を話題もちりばめながら列挙してみたが、概観するとやはりどんな業界・組織にあっても、けん引するリーダーには、「稚気愛すべき人間的魅力と逆境にあってもへこたれない打たれ強さが併せ求められ、同時に夫人との二人三脚や家族愛の大切さ」を改めて知らされているところである。

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