
フランスはどう少子化を克服したか。
フランスは先進国の中でもいち早く少子化問題に直面していた。
そのフランスが、今やこの問題を克服し、なお人口が増え続けている。
そのヒントがこの本の中にいくつもちりばめられているように思う。
筆者の高橋順子さんは、昭和49年生まれ、東大卒業後出版社に勤務、2000年に渡仏し、パリ第四大学ソルボンヌで仏語を学ぶ。サラリーマンの夫と共稼ぎで、パリ郊外でライターを主業としている。
2009年と2012年に生まれた二人の息子はいずれも1歳から保育園に預け、3歳からは朝8時半から夕方4時までの「保育学校」(週4日半、3年制、教育費無料)に入学させている。
フランスではこの「保育学校」利用が一般的で、「宝石のように価値ある制度」と育児に携わったパリっ子(親)たちは胸を張る。
さらに驚くのは、赤ちゃん誕生後サラリーマンの父親には3日間の出産有給休暇が与えられ、雇い主が給与を負担、拒んだ雇い主には罰金が科せられるため、取得率はほぼ100%だという。
お父さんトレーニングの第一歩で、沐浴、おむつ交換等が助産婦指導で進められる。ミルク育児の場合は、ミルク作りや授乳のコツも教わる。
出産有給休暇が終わった男性には、今度は11日連続の「子供受け入れ及び父親休暇」(国が給与負担)が待っている。
雇用主は拒むことが出来ず、罰金もある。この2週間の出産有給休暇の後、これとは別に男女を問わず2年間の「育児休暇」が取得できる。
ただ、この「育児休暇」取得男性はまだ2%に過ぎず(大半はキャリアに影響するので取得難との理由)、少子化改善先進国のフランスでもここはまだ大きな課題として残されているようである。
ちなみに、このような父親育児参加が日常生活に深く浸透し一般化しているフランスでは「イクメン」という言葉そのものもないとのことである。
このほか、「無痛分娩の薦め」や「母親アシスタント制度(ベビーシッターの進化形)」などきめ細かな施策についても詳述されており、この問題に悩まされているわが国にとり文化や意識の違いを乗り越えて大いに参考になるところであろう。
あとがきで、筆者はこの本(2016年刊)を執筆中「少子化問題に取り組む政府関係者の方にお話しする機会があった」と述べているが、ともかく時間のかかる根の深い問題である。
政府関係者だけではなく、やはり政治家の本気度さらには国民の危機意識そのものが問われているように思う。