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アキレス腱の教え

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毎朝、一時間近くの散歩を続けているが、かれこれ30年近くになる。

平成が始まって間もないころ、北海道は釧路に住んだことがある。日銀の支店長として赴任していたが、当時地域の銀行団のソフトボール大会がさかんで、現役選手として参加していた。そのころもっとも強かった道内の雄拓銀(その後のバブル崩壊で金融市場からは姿を消す運命をたどる)と決勝戦で戦った。レフトオーバーの大きな当たりを打ち逆転優勝したまではよかったが、三塁ベースを回ったところで突然右足から「バシリ」との音が聞こえた。

アキレス腱の完全断裂である。早速近場の整骨医のところへ担ぎ込まれた。担当の若手医師は米国帰りで「日本のスポーツ選手は手術することが多いが、米国ではリハビリ療法というのが主流になりつつあり、入院は不要、松葉づえが必要で完治までリハビリを含め半年ぐらいかかるが通院で治せる」との診断であった。

直後に本店で支店長会議があり、片足を引きずりながら会議に出席したところ、口の悪い先輩役員(のちに総裁まで上り詰める)から「大橋君、文字通り名誉の失脚だね」と揶揄されたりしたが、この役員からはその後も時に厳しく時に優しく指導されるところとなった。

思い出いっぱいの釧路暮らしであったが、その当時のリハビリを兼ねた散歩の習慣が、今も続いており、昨今のコロナ騒動下でも「早朝散歩」のリハビリ生活に役立っている。

ちなみに、「アキレス」とはギリシャ神話に出てくるトロヤ戦役の英雄で、「幼時、彼の母親が息子アキレスを不死身の英雄に育てようとかかとを支えて川に浸し、全身が不死身となったが、支えていた、かかとだけが弱点として残り、敵将にそこを狙われ殺される。とかく傲慢に陥りやすい人間という生き物にどこか弱点を与え、おごりを戒めている」との教訓として今なお語り伝えられている。

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