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「安全か?」「安心か?」そして「快適か?」

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金融界に長く身を置いていたが、ある日突然「民営化された高速道路会社の経営をやってほしい」との全く場違いな話が見込んできたのはいまから5~6年前のことである。

「どうしてですか?」と尋ねたところ、「民営化されて10年近く経つが、まだ建設官僚の天下りが続いており、なかなか改革が進まない。

民間金融機関経営での抜本改革が目に留まり、民間経済界から貴兄を推薦したいとの意見が有力者から出てきた。同じスタンスで向こう傷を恐れず、前例踏襲を打破し大胆に改革に取り組んでもらいたい」。時の所掌大臣や経済界重鎮からの直接の言葉であった。

「ともかく寝耳に水の話ゆえ、一週間ほど考えさせてほしい」と返答、家族とも相談の上、「少しでもお役に立てば」ということで、阪神高速道路会社の会長兼社長職を受諾することにした。

ただ、これまで細々と取り組んできたベンチャー企業育成ビジネスは手放すわけにはいかず、「非常勤会長職は継続」を条件にした。

民営化へ向けての取り組みはかなり課題が多く、時間はかかるが、ともかくやれるものからやろう、ということで、「内部の意識改革」と「効率化経営」は最優先で取り組むことした。

グループ含め3000人近い職員には、就任直後のトップ会見(含むビデオメッセージ)で、「いい情報は後でいい。悪い情報ほどトップまで早く上げてほしい。責任はすべて私がとる」。会場は一瞬静まり返った。

もう一点、気になったのが高速道路会社共通のモットーである「安全」「安心」「快適」である。

確かに、この3点はうなずけるが、問題はその順序である。

しかも「快適」と「安全」はある意味二律背反のテーマである。

これまで、果たして「快適」を優先し、「安全」への気配りが足りなかったことはなかったか?

着任間もないころ、とある重要会議の場で保全部長(現有力子会社社長)から「首都高で昨夜2時ころトンネル寧の天井が崩落したが、幸い深夜ということもあり人身事故はありませんでした」との報告があった。

ただちに社長室に部長を呼び「詳細報告を。そして、当社のすべてのトンネルと結果報告を」と命じた。

その1年後、NEXCO西日本での笹子トンネルでの崩落事故が起こり、犠牲者が出た。

国交省の事故後の全社調査では、阪神高速の不備は2件(離任後開通したトンネルと神戸トンネルから譲り受けた案件)、とのことであった。

今回の広島、岡山の大災害には、「道路網の整備や山林部の開発優先で、地質や地盤の調査に怠りはなかったか?」「豪雨に備えたダム建設はどうであったか?」「保水林としての山林伐採に行き過ぎはなかったか?」

地球温暖化による自然環境の変化も合わせ考えると、いくつか学ぶべき教訓があるように思う

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