
新型コロナ騒動で近場のデイズニーランドが閉鎖、併設のシネコンイクスペアリも閉館中とあって、楽しみの映画館巡りはお預けのやむなきに至っている。このところは本を読み漁ることがめっきり増えてきたが、幸い神田神保町で小さな会社を立ち上げており、ランチタイムになるとそばにある三省堂本店に足しげく通っている。そこで「自由価格本」なるコーナーを見つけ、かってこのコーナーで見つけた故梅原猛著の自由価格本「京都三鬼ものがたり(ご本人と千玄室、瀬戸内寂聴)」について本欄でご紹介したことがあるが、今回はそこで見つけた「時代小説名作100」についてご紹介したい(12名の執筆陣の手になり、監修は文芸評論家の細谷正充氏である)。
サブタイトルに「学校で教えない教科書、面白いほどよくわかる」とあり。かなり食指が伸びる。
作家別に代表作、感銘作品を好きな作家順に列挙すると以下の通り。
第一章 昭和の国民的作家と時代小説の騎手
・司馬遼太郎
竜馬がゆく
燃えよ剣
峠
国盗り物語
・山本周五郎
樅ノ木は残った
おごそかな渇き
赤ひげ診療譚
・藤沢周平
蝉しぐれ
たそがれ清兵衛
用心棒日月抄
・池波正太郎
鬼平犯科帳
・津本陽
下天は夢か
・平岩弓枝
御宿かわせみ
第二章 温故知新!古典的時代小説の誕生
・吉川英治
宮本武蔵
・中里介山
大菩薩峠
・山岡荘八
徳川家康
・子母沢寛
勝海舟
第三章 平成の時代小説ブームを牽引する実力者たち
・宮部みゆき
本所深川ふしぎ草紙
・浅田次郎
壬生義士伝
・佐伯泰英
密命
・和田竜
のぼうの城
・葉室麟
秋月記
いずれもひたぶるの大河小説で、寝転がりながら気軽に読めるものが多いが、作者の思い入れが筆の先から伝わってきて、まさしく「はまり度は半端ない」ところがいい。
これらの中で、どうも印象が薄い平岩弓枝の「御宿かわせみ」には目下はまっている。
時代は江戸後期、旅籠「かわせみ」を舞台に江戸の市井に繰り広げられる事件や騒動を軽妙なタッチで描く。
八丁堀同心の娘るいは、父親の死をきっかけに役宅を返上して、大川端に小さな旅籠「かわせみ」を構える。人目を引くほどの器量よしだが下町っ子気質で気が強く、武家のお嬢らしく茶の湯や琴も習っている。彼女を慕っている奉行所捕り方嘉助や女中頭お吉など奉公人の助けもあり、小さいながらも商いはうまく行っている。るいと恋仲にある神林東吾は代々八丁堀与力を務める家の次男坊である。身分の違いもあり世を忍ぶ恋ではあるが、お互いに深く慕っている。二人の恋の行方にも興味があるが、彼らが出くわすいろんな事件や騒動にいかに立ち向かうか、難局に立ち向かう際のさりげない気配りや思いやりが何とも言えない。
何かと騒々しく行動が制約され、移動もままならない今日この頃だが、季節は悪くはないので、これを味方にしつつ、しばし気の置けないこうしたタイプの本読みと漫然としたぶらぶら歩き(なるべく近場の公園での日向ぼっこの散歩)をおすすめしたい。それと、無観客の大相撲TV観戦も時計の針がタイムスリップしたようでなかなかいいですよ。