
映画ファンの間では、「もっとも記憶に残る映画作品は?」との質問があると「ショーシャンクの空に、がなんといってもナンバーワン」と答える向きが多い。その期待に応えてか、このほど4Kリメイク版として再登場した。ストーリーは比較的単純で、「浮気妻殺しの濡れ衣を着せられ、無実の罪により劣悪かつ過酷な環境で名高いショーシャンク刑務所に送りこまれた、頭脳明晰なエリートの銀行副頭取アレングリーン(テイム・ロビンス)と模範囚として刑期を終えつつある思いやりのある黒人囚人レッド(モーガンフリーマン)の友情と脱獄の物語である。
原作は、1982年にかのステイーブンキングの手になる中編小説「刑務所のリタ・ヘイワース」というタイトルで、実話か?フィクションか?アメリカ映画界では大変な話題になった作品の映画化でもある。
すでに欧米では刑務所は民営化され、所長や刑務官は民間人から形成されていたようであり、規律や公徳心が乏しいものもいたようで、劣悪かつ過酷な刑務所生活の様子がつぶさに紹介され、脱獄に対し「やむをえない。むしろ拍手喝さい」といった風潮からこの作品には当時のアメリカ人の心をとらえ、我が国でも長くファンの心に残ったのであろう..また、往年の美貌女優リタヘイワース大型ポスターが脱獄に一役買ったのもアメリカ人の心をとらえた面もあろう。
ラストシーンは感動的でハピーエンドとなるのも人気に拍車をかけたと思われる。
若かりし頃、「手錠のままの脱獄」というシドニーポワチエとアンソニーパーキンス両主演映画を見たが、これは黒人白人が手錠でつながれたまま脱獄するという人種差別を軸にした力作で、それなりに深く心に残っているが、この「ショーシャンク」に比べると作品の質でかなり見劣りするのは否めない。
主演の二人、テイムロビンスはすでに当時トップスターとしていくつかの作品で活躍していたが、後に映画界きっての名優モーガンフリーマンはまだ駆け出しで、彼の抑えた演技がにじみ出るような思いやりがじわりと伝わってくる。かって、北海道の釧路に勤務し、近くの「網走監獄」を紹介がてら訪問したことがあり、やはりそこでも脱獄囚の実話が紹介されていたが、こちらは実話を蝋人形を使って紹介するといった古めかしい形での暗い感じのする観光地となっており、「この映画のような明るい逸話やほのぼのとした刑務所内ストーリー」も残されておらず、期待外れの感は否めなかった。