
とある週末、ユダヤ人を主題にした映画を立て続けに観た。
とある週末、暇に任せてまったくジャンルの異なる2冊の「本」を一気読みした。
一つは「否定と肯定」であり、もう一つは「ユダヤ人を救った動物園」である。
何れも実話を映画化した作品であり、ともに話題作であるが観客の入りは、片や満席、片やガラガラと様変わりであった。
前者は都心ど真ん中の日比谷の「シャンテ」で、後者は遊園地デイズニー併設の「イクスペアリ」とあって、作品と客筋の違いがもたらしたのであろう。
「否定と肯定」は法廷物で、ナチスによる大量虐殺を法廷で証明できるのか。
歴史学者リップシュタットがホロコーストを否定する歴史学者アトランタのアーヴイング教授に挑戦する。
アーヴイングに名誉棄損で訴えられたリップシュタットは敏腕弁護士とのチームワークで控訴院での「棄却」により勝訴するまでの、5年間もの歴史的裁判回顧録の映画化である。
この裁判は、英国では「ニュールンベルグ裁判やアイヒマン裁判が昔の世代に行っていたことを、新しい世代に向けて行った」(ロンドン・デイリーテレグラフ紙)「歴史の真実が勝利を収めた」(ロンドン・タイムズ紙)と評判になり、米国でもリップシュタットがクリントン、オバマ両大統領から合衆国ホロコースト記念博物館の歴史コンサルタントとして指名されるなど何かと話題を呼んでいる。
一方の「ユダヤ人を救った動物園」は比較的気軽に観れる作品である。
舞台は1939年ポーランドのワルシャワ。
ヤンとアントニーナ夫妻は、当時ヨーロッパ最大のワルシャワ動物園を営んでいた。
その年の秋、ドイツがポーランドに侵攻し第二次世界大戦が勃発、動物園も戦禍に巻き込まれる。
こうした中でユダヤ人の多くがゲットー(ユダヤ人強制居住区)に連行される姿を観て、ヤンはアントニーナに「この動物園を隠れ家にしよう」と驚くべき提案をする。
そこへヒトラー直轄の動物学者ヘック(アントニーナに想いを寄せる)が複雑に絡み、事態は緊迫の度を強める。
ユダヤ人の救済と動物の保護そして愛する家族との絆、時には狡猾に、時には果敢に、動物園の地下で得意のピアノを奏でながら未曽有の戦禍を潜り抜ける美しいアントニーナの姿に胸を打たれる。
ワルシャワ動物園はその後復興し、アントニーナの弾いていたピアノやユダヤ人を匿った地下室は園内の博物館に今も残されているという。